大綱読み終えました。例年通り気になったところを挙げてみます。
以下、本文の一部と比較です。
本文の一部 | 感想 |
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事業会社による一定のベンチャー企業に対し、極めて異例の措置ではあるが、出資の一定額の所得控除を認める措置を設けることとする。 | ベンチャーを後押ししたいのはわかるが、出資の所得控除?という方法は、どうなのかな? |
収益が拡大しているにもかかわらず賃上げも投資も消極的な企業に対し研究開発税制などの租税特別措置の適用を停止する措置を強化する。 | なかなか、内部留保利益が給与所得者に反映しないですね |
一部の大企業において、接待飲食費の特例によって交際費が大きく変化している状況とは言えず、・・・資本金の額等が100億円超の大企業について、この特例の対象法人から除外する。 | 大企業については、交際費が損金不算入になろうとも、あまり関係ない、ってことなんでしょうね |
5G(第5世代移動通信システム) | 今回の大綱で、5G、という単語は、かなり登場します はやく今の4G並みに普及してほしいものですね |
平成14年度の制度創設以来18年ぶりに連結納税制度を抜本的に見直し、グループ通算制度へ移行する。 ・・・企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行いつつ、損益通算等の調整を行う簡素な仕組みとすることなどにより事務負担の軽減を図る。また、開始・加入時の時価評価課税・欠損金の持込み等について組織再編税制と整合性が取れた制度とすることで、時価評価課税や繰越欠損金切り捨ての対象を縮小する。 | 連結納税は、実務でなかなか使いづらいので、ほとんど使うことがないが、今回の大綱では、かなり詳しくページを割いて記載がある。 それでも、まだ難しいかな、という印象 |
租税特別措置の創設・拡充を行う場合は、財源を確保することやいたずらに全体の項目数を増加させないことに配意する。 | 妥当ですね いつまで租税特別措置法なんだろう?っていうものもありますしね |
相続人等に対し、「現に所有している者」として、その氏名、住所等を申告させることができる制度を創設する。 また、地方公共団体が調査を尽くしても所有者が一人も明らかとならない資産について、当該資産を使用収益している者が存在する場合、あらかじめ当該使用者に通知を行った上で、使用者を所有者とみなして課税することができることとする。 | 所有者不明の土地・建物の問題は、現在も深刻な問題である にしても、使用収益している者に課税する、というのは、かなり踏み込んだな、という印象 誰が所有者かわからない、なので、賃料も払っていないような賃借人を所有者とみなして、固定資産税を課すつもりだろうか・・・ |
現在の退職給付は一時金での受け取りが多いが、税制についても、給付が一時払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立ではないという課題がある。 | 終身年金払いのケースも多いため、現在の形でよいと思うが・・・ |
未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し | やっとか、という印象 見直されて当然ですね |
消費税の申告期限の延長 ・・・消費税の預り金的な性格を踏まえつつ、消費税の申告期限を1か月に限って延長する特例を創設する。 | 会計税務がわかる態でやってきて、法人税の申告期限の延長と混同して、思いっきり消費税の申告納付を忘れたダメな事業会社社員がいましたが、消費税は預り金なので、この制度必要かな?という印象 結局、法人税等も含めて、決算日から2か月で納付までは終わらせないといけないのには変わらないんですけどね 利子税があるし |
国外居住親族に係る扶養控除等の見直し ・・・30歳以上70歳未満の成人のうち、留学生や障害者などを除く者について、扶養控除を適用しないこととする。 | 今回、一番踏み込んだ内容かな、と思った件 もう扶養される側の所得などはわからないので、年齢だけで判断する、という大ナタを切ったな、という印象 やむを得ない措置だと思います |
配偶者居住権又は配偶者敷地利用権が消滅等をし、その消滅等の対価として支払いを受ける金額に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、・・・その被相続人に係る居住建物等の取得費に配偶者居住権等割合を乗じて計算した金額から、その配偶者居住権の設定から消滅等までの期間に係る減価の額を控除した金額とする。 | そりゃそうなんでしょうけど、ますます複雑になる気が・・・ 税理士向けの研修で、しっかり聞いてきます |
国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす。 | これも、国外扶養と同様に実態がわからない、ってことなんでしょうね |
その年の前々年分の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が300万円を超える個人は、現金預金取引等関係書類を起算日から5年間、その者の住所地または居所地に保存しなければならないこととする。 その年の前々年分の雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が1,000万円を超える個人が確定申告書を提出する場合には、当該業務に係るその年中の総収入金額及び必要経費の内容を記載した書類を当該確定申告書に添付しなければならないこととする。 | この金額だと、もはや雑所得ではなく、事業所得でしょうね それなのに、雑所得で申告するのは、何か理由があるのでは?と思われても仕方のないことだと思います |
住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するもの(以下「居住用賃貸建物」という。)の課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。 | 課税売上割合が95%以上、原則だけど一括比例配分方式を使っている場合も、課税仕入れとしない、ということみたいですね 仕入時:課税仕入れ、売上時:非課税売上、というのは他にもありそうですが、居住賃貸に限定したのは、やはり金額が大きいからでしょうね |
電子帳簿等保存制度の見直し ・・・ 電磁的記録の保存方法の範囲に、次の方法を加える。 (1)発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法 | 領収書や請求書を、すべてタイムスタンプが付された電磁的記録でもらえれば、一気にデータ化できそうですが、紙媒体もあるうちは、分けて管理しないといけないんでしょうね |